詩『別れ その3(完)』

エメラルドのような眼に、
白い体、
宝石を散りばめたような、
翡翠色の斑点。

「この子、
黒い色が抜けたみたい」。

かつてこの地で共に暮らした猫を見ながら
母と話す。

母もまたうつつで私に言う、
「何かが私の布団に飛び乗って、
また飛び降りていった」。

神が花嫁のゆえに願いを聞かれ、
眠った者を引き上げ、
美しく装わせてくださったのだな。

人よ、
あなたもまた美しく、
私と共に永遠であるように。

~別れの三部作 完~

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