天使ニューの日常を深める聖書話『一人が皆の運命を握る』

私はキリストじゃなくて良かったと最近思うんだ。

え、どうしてですか？神様の前でキリストほど大きな人はいないじゃないですか。

だって、責任が大きすぎるじゃない。

パウロはアダムに関して

きたるべき者の型であった

ローマ人への手紙5:14

と言っていて、アダムは宗教の「初めの人」として神様の前で全ての人類を代表して御言葉を受けていて、自分自身が代表として自覚があったかどうかはさておき、その御言葉への不従順によって全ての人が神の御言葉に不従順であったとみなされたわけでしょ。

そのせいで一つの時代が神様との愛を成すべき存在として寵愛を受けた存在から万物よりも低いしもべとしての立場に落ちたのよね。

それはそうですが、イエス様については

ひとりの人の罪によって死が人類全体に入り込んだように、ひとりの人の義によってその恵みが全ての人に満ち溢れた

と書いてあって、イエス様が神様の御心に従順であったことによって全ての人類が神様に従順したとみなされ、その時代が新たな神の子女としての時代へと復活したわけですから、甲斐が大きいと思います。

いや、イエス様は「激しい叫びと涙をもって祈った」ってあるでしょ（ヘブル人への手紙5:7）。現実に激しく叫んで泣くのってものすごいつらい証拠でしょ。

それに、結局イエス様を受け入れることを拒んだ人たちは旧約のしもべの時代に閉じ込められて今も同じ苦痛を伴う信仰生活を生きているんだから、門を開いたとはいえ多くの人が救われない可能性もあるわけじゃない。

アブラハムだって信仰で認められて子孫が繁栄すると約束されたけど、一方でただ鳩を裂かずに捧げるっていう過ちを犯しただけで子孫が四百年間もエジプトで苦痛を受けたのよ。

神の前の使命者たちの務めがどう映るにせよ、彼らの行い一つで周囲の運命が良くも悪くも変わるというのは事実です。

ダビデが使命を受けてからも神に栄光を帰する生を続けたために国は勝利して平和を得ました。ソロモンも神に従順だった時と偶像に使えた時では国もそれに応じて栄と衰退を被りました。

ν（ニュー）さん、良いところに！というか多分全部聞いてましたね。

どうやらもう一段階深めるには手助けが必要そうでしたので、現れてしまいました。中心人物の話を通じてお二人が自分という存在についても悟っていただけることを願います。

さて、使命を受けた人がうまくやれば周囲も良い影響を受け、失敗すれば周囲も悪い影響を受けるというのは分かりやすいですね。

しかし、もし周囲がうまくできなくて使命者が責任を負った場合はどうなるでしょうか？

イエス様の時は、ユダヤ人たちが神様の働きに無知で、かつバプテスマのヨハネもイエス様を証する使命を全うせずに単独行動に出たせいでイエス様は迫害を受けて結局十字架にかかられましたよね。

これがどう周囲に影響を与えたかというと、弟子たちも皆迫害を受けましたね。

いかにも。

イエスが十字架で死なれたので、彼に従った直接の弟子のみならず、ローマで国教となるまで四百年もの間信じる者皆が迫害される歴史が続きました。

キリストは特にその時代の全ての信徒たちの代表であるので、その者の歩む路程は多かれ少なかれ信徒たちの歩む路程にもなるということなのです。

ということは、イエス様が「私は再び来る」とおっしゃった約束を成す新しい時代においても、その一人から始まって時代全体が恩恵を受けるし、一方でその人が苦難に見舞われたら時代全体が艱難に見舞われるようにもなるってことですね。

エクセレント。

続けます。

国や時代に与える影響を見てきましたが、規模を縮小して個人を見ても同様の働きかけが観察されます。

例えば、旧約時代にはヤコブの働きによってラバンは栄え、ヤコブと所有を分けるやラバンは衰えました。

また祭司長エリが子供たちにしかるべき処置をとらなかったためにエリも呪われた死に方をし、かつその家系も結局は祭司が絶えるようになりました。

新約においても、コルネリオの祈りと捧げものの義によって異邦であったその家全体に救いが訪れ、パウロによって船人たちも囚人たちも漂流のさなかに一人も死ぬことがありませんでしたね。

左様です。わたくしのお伝えしたいことがお分かりでしょうか？

私たち一人ひとりも同様で、一人の行いがそこに属する人々皆に影響を与えうるってことですね。

左様です。

一人の義人によってその家族も神に覚えられて病から命を救われることがあり、尊い家族の霊の救いが左右される場合もあります。命だけでなく経済的なことも同様です。

根本的には、私たち一人ひとりを通してその場所に成そうとする神の御心があり、そこから興る歴史が中心で起こる歴史を強めもし、弱めもするということです。

中心人物とは影響を与える範囲は異なるけど、自分もまた神様の前で責任を負って生きてるんですね。

キリストでなくて良かったというのは変わらないけど、責任感を持って生きていきます。νさん、ありがとうございました。